カスタマーサクセスとは?役割・業務内容・必要なスキルを徹底解説!

近年、SaaS企業(※1)を中心に注目を浴びているカスタマーサクセスという言葉。
既存顧客のフォローを行い、顧客を成功に導く役割を担うことで解約を未然に防いだり、他サービスの提案に繋げたりと、営業がこれまでやっていた顧客フォローを行うこともあります。
今回はそんなカスタマーサクセスの役割や必要なスキル、チームの立ち上げ方を解説します。
(※1)SaaSとは、クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由して利用できるサービスを指す言葉です。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、既存顧客に対してフォローアップ業務を行い、自社のサービスを継続して利用してもらうことで顧客を成功に導く活動を意味します。
サービスの利用者数を増やす業務を行う営業に対して、既存顧客への働きかけを行う役割を担っているのがカスタマーサクセスと言えます。
カスタマーサポートとの違い
よく似た言葉に「カスタマーサポート」という言葉がありますが意味合いが異なります。
▼その違いは以下の通りです。
- カスタマーサクセス:主体的に顧客の課題と向き合いながらサポートを行う
- カスタマーサポート:サービスの不具合など、顧客から連絡があった際にサポートを行う
このように、カスタマーサクセスは顧客の成功(収益アップや利益獲得)に導くためサポートを行います。
一方カスタマーサポートは、顧客から電話やメールで問い合わせが入った際にトラブル対応を行う業務を担っています。
カスタマーサクセスが重要視されている理由
カスタマーサクセスが重要視されている背景には、サブスクリプションモデル(※1)によるサービスが普及したことが1番の理由と言われています。
サブスクリプションモデルのサービスは、「売り切り型」のサービスとは違い、継続して利用してもらうことが重要です。つまり、継続率の維持と解約率の低減が重要な指標となります。
そして、長く利用してもらうためには、サービスを利用する顧客に寄り添い、顧客を成功に導くカスタマーサクセスが重要視されているのです。
(※1)サブスクリプションモデルとは、商品やサービスを購入するのではなく、月や年単位などの決まった期間だけ料金を支払って利用するサービス形態のこと。
カスタマーサクセスの役割
前述の通り、カスタマーサクセスとは、サービスの利用を通して顧客を成功に導く取り組みです。
そしてその役割は以下の通りです。
1.LTV(ライフタイムバリュー)の最大化
カスタマーサクセスの役割としてまず重要なのが、LTV(顧客生涯価値)を最大化させることです。既存顧客へアップセル(※1)・クロスセル(※2)を促すことで顧客単価の引き上げを行います。
新規で顧客獲得を行うよりも既存顧客から売上を上げる方が比較的容易にできるため、契約維持率を保ちながら、顧客の課題に寄り添った提案を行うことで、収益を最大化させます。
(※1)アップセルとは、既存顧客が今使ってるサービスより更に高額なサービスを提案する手法です。
(※2)クロスセルとは、現在検討段階の商品と組み合わせて、更に他の商品を提案する手法です。
2.既存顧客のニーズをヒアリングし、プロダクトを改善する
既存顧客のニーズをヒアリングしプロダクトを改善していくのも大切なポイントです。
顧客の動向や時流は常に変化します。カスタマーサクセスに従事する以上、常に改善の意識を持ちながらサービス提供を行う必要があります。
カスタマーサクセスに必要なスキル
ここではカスタマーサクセスに必要なスキルを4つご紹介させて頂きます。
1.本質的な数値を読み解く力
カスタマーサクセスのKPI(※1)を読み解く際、以下の内容に心当たりはないでしょうか?
- ただ単に数値の報告をしている
- 数値が低い時の対応策が甘い
- 各指標の関連性を理解していない
このような場合、結果として数値の報告だけを行い、本質的な解決に至っていないことがほとんどです。
例えば、顧客一人の契約維持率が上がっただけでは意味が意味がありません。他の指標との関連性を読み解くことでカスタマーサクセスの品質を高めることができます。
(※1)KPIとは、平たく説明するなら業績を達成する指標や目標数値のことを指します。
2.顧客が抱えている課題を想像する力
カスタマーサクセスの仕事は数値に違和感があった際に、顧客が抱えている課題を想像する力が必要です。
少しでもサポートのタイミングが遅れれば解約されてしまう危険性もあります。さまざまな課題や悩みを想定し、リスクヘッジを行えるスキルも重要です。
3.社内・社外問わずコミューニケーション能力を発揮できる力
既存顧客の課題を解決するには、コミューニケーション能力が必要です。また、現在サービスを利用している顧客を相手にするため、長期的なコミューニケーションが求められます。
一方、社内においても、顧客の課題に応えるために別の部署に応援を要請しなければいけない場面も発生します
このようにカスタマーサクセスは、社内・社外問わずコミューニケーション能力を発揮する力が求められます。
4.マネジメント能力
カスタマーサクセスはチームで行うため、プロジェクトリーダーには当然マネジメント能力を求められます。
組織のKPIやチームスタッフの行動評価も行わなければいけないため、チームのリーダとして計画的に物事を進める力が重要となります。
カスタマーサクセスチームの立ち上げ方
ここまでカスタマーサクセスの重要性や求められるスキルを解説してきました。
しかし、新たにカスタマー作成の部署を立ち上げる際、どのような手順で立ち上げていけば良いのでしょうか。
ここからは、カスタマーサクセスチームの立ち上げ方について解説させて頂きます。
1.顧客をサポートする範囲と役割を明確にする
まずはじめに、サポートする範囲と役割を明確にします。
例えば、以下のような形です。
【1】フィールドサポート
→初期の導入手続きや効果的な使い方の説明など
【2】テクニカルサポート
→顧客からの問い合わせ対応やマニュアル作成など、日常的な課題解決をサポート
【3】コミュニティ運営やコンテンツ開発
→顧客同士のコミュニティ運営(事例共有会など)や、顧客に向けたセミナーやコンテンツの開発
【4】サービスマネジメント
→カスタマーサクセス全体のパフォーマンスを高めるための業務改善や業務フローの設計・構築を行う
以上のようにサポート領域と役割を明確にすることで、建設的に顧客をサポートすることができます。
こちらはあくまで一例ですので、参考にして頂き自社にピッタリの役割分担を構築してみましょう。
2.チーム編成を進める
サポートを行う範囲が決まったら、役割分担を進めていきます。
尚、チームメンバーが必ずしもサポート領域を専任する必要はありません。フィールドサポートを担当するスタッフが時にはコミュニティ運営に従事する、といった体制も状況によってはあり得ます。編成については臨機応変に自社の状況に応じて、柔軟に検討してみましょう。
3.業務フローを構築する
チーム編成とそれぞれの役割が決まったら、時系列を整理しながら、カスタマーサクセスチームの業務フローを構築しましょう。
例えば以下のようなフローです。
このように業務フローを明確にしておくことで、チーム間の連携が取りやすくなります。
4.チームの目標を設定する
続いては、各チームが活動するにあったって掲げる目標を定めます。
例えば以下のような目標設定があります。
▼フィールドサポート
導入の説明などを行う際に、アップセル・クロスセルを行いえるため、受注数を指標にする。
▼テクニカルサポート
顧客からの問い合わせから回答までにかかった日数や回答に対する顧客満足度を指標にする。
▼コミュニティ運営やコンテンツ開発
セミナー参加数やセミナー集客を行なった際獲得できたリード数を指標にする。
▼サービスマネジメント
上記部門のパフォーマンスを最大化するために、「どのくらい業務改善を行うことができたか?」「顧客フォローの質を高めるための基盤はできたか?」などを指標にする。
これらもあくまで一例ですので、参考にして頂き自社にピッタリの目標設定を行なってみてください!
5.チーム内の教育体制を整える
最後に、チームメンバーを教育する教育体制の整備も必要になってきます。特にカスタマーサクセスは既存顧客の満足度を高め、顧客を成功に導くといった役割を担っています。
チームメンバーそれぞれがプロ意識を持つことが大切です。
「カスタマーサクセスチームを発足して終わり!」ではなく、チームのメンバーの成長に対するモチベーションを喚起できる教育体制も併せて構築しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、最近注目を集めているカスタマーサクセスについて解説しました。
これからカスタマーサクセスを強化していきたいと考えている方も多いと思いますが、ポイントは「はじめから全て完璧にする必要はない」ということです。
カスタマーサクセスは、お客様を成功に導く取り組みです。
しかし、お客様のニーズや時流は常に変化します。
この変化に応じて柔軟にお客様と向き合い、お客様と共に「伴走」できる組織運営を目指してみてはいかがでしょうか!