SaaSビジネスとは?ビジネスモデルの特徴や営業手法、企業の成功事例を解説!

目次
SaaSビジネスとは
SaaS(サースまたはサーズ)とは、「Software as a Service」の略称で、ユーザーが求める機能をクラウド上で利用することができるソフトウェアの提供形態のことです。
今では日本でも主流になりつつあるクラウドサービス(※1)ですが、一昔前はユーザーがソフトウェアを購入してコンピューターにダウンロードする形が一般的でした。
SaaSでは、ソフトフェアは提供側のサーバーで起動して利用するため、ユーザーは毎月設定されている料金を支払うことで、インターネット経由でサービスを利用することができます。
例えば最近は、「Netflix」や「Apple Music」などの月額課金型(サブスク)のSaaS型のサービスが好調です。
※1:クラウドサービスとは、離れた場所で動くコンピューターを、インターネットを介して使うサービスのことです。
SaaSビジネスの特徴
最近日本でも増えつつあるSaaSビジネスですがどのような特徴があるのでしょうか?
具体的な特徴は以下の通りです。
- サービスをインターネット経由で提供できるため物理的なソフトウェアが不要
- サービス導入時の初期コストが安い!
- アップデートにスピーディーに対応できる
- ユーザーを増やすことで売上を積み上げていける
- ユーザに満足してもらえない場合、解約リスクが高まる
最近は「売り切り型」のサービスよりも、定額払いのサブスクリプションサービスが主流になりつつあります。
そのため、SaaS型のビジネスモデルは売った後の顧客満足度を高めるために、カスタマーサクセス(※1)の役割が重要になってきます。万が一、ユーザーの満足度が低い場合、解約されてしまう可能性があるからです。
※1:カスタマーサクセス(Customer Success)とは、既存顧客に対してフォローアップ業務を行い、自社のサービスを継続して利用してもらうことで顧客を成功に導く活動を意味します。
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SaaSビジネスの営業に必要なスキルとは
最近ますます注目を集めるSaaSビジネスですが、SaaSの営業を行うために必要なスキルはどのようなものが求められるのでしょうか。
ここでは必要なスキルについて解説していきます。
顧客の課題を正しく見極める
SaaSのサービスは導入コストが低いためユーザは気軽にサービスを購入することができる様になりました。しかしその一方で、実際使ってみて「合わない」と判断された場合は即時に他の類似サービスに乗り換えられてしまう場合があります。
また、提供したサービスでは顧客の課題解決ができる見込みがないのにも関わらず無理やり営業を行い、サービスを提供してしまうと「営業に勧められたから購入したけど、やっぱり自分には合わない」となり、解約されてしまいます。
このようにSaaSの営業は顧客の課題を正しく見極め、自社のサービスが顧客の課題を解決できるのかよく見極めることが重要です。
SaaS営業と他の営業の違いと求められるスキル
例えば、一般的なプロダクトの場合、多少商品力が弱かったとしても担当する営業マンの能力が優れている場合、受注することも可能です。
しかし前述の通り、SaaSの営業の場合、顧客に無理やりサービスを売ってしまっても顧客満足は決して高く無いため、解約されてしまうリスクが高まります。
つまり、SaaSの営業で求められるスキルは顧客に商品を無理やり売り込むのでなく、顧客が抱えている課題や悩みをヒアリングし、その内容をプロダクトへ反映させて顧客も営業も、技術のチームも全てを巻きこみ、サービスをつくり上げることだと言えます。
目先の利益ではなく、顧客と長く関係性を築くことにより、将来的な収益を考えなければいけない点が、他の営業と違う点となります。
SaaSビジネスの成功事例
続いてはSaaSビジネスの成功事例を紹介させて頂きます。
1.Dropbox

画像:ホームページより(https://www.dropbox.com/ja/)
DropboxはアメリカのDropbox, Inc.が提供するオンラインストレージサービスです。
オンラインストレージとローカルにある複数のコンピュータ間でデータの共有や同期を可能とするサービスです。
Dropboxは導入のハードルを下げるために、2GBの容量をフリーミアム(※1)プランで提供しています。
そして容量が減って使いにくくなったタイミングでアップセル(※2)のメッセージを送って営業活動を行っています。
2GBはお試し程度に使えるボリュームとなるため、今の高画質の画像や動画を保存するニーズが多い中で、2GBでは容量がほぼ不足します。そこでフリーミアムを戦略に落とし込むことでアップセルを狙える仕組みを構築しています。
※1:フリーミアムとは、基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデルです。
※2:アップセルとは、顧客が購入したその商品と同種で「より上位のもの」を提案し購入してもらう営業手法です。
2.freee

画像:ホームページより(https://www.freee.co.jp/)
freeeは、小企業を初めとした法人・個人事業主向けの、事務管理を効率化するためのSaaS型クラウドサービスを開発、運営するフィンテック企業です。
freeeはサービスコンセプトだけでなく、資金調達も戦略的に行なっています。
例えば以下の方法が挙げられます。
- 立ち上げ当初はSaaSへの理解のある海外から資金調達を行なった
- 認知度が高まった段階で資金調達を行った相手と業務提携を行う
- IPOでは成長戦略をしっかり構築してから海外から多くの資金調達を行った
上記の戦略を実施し、自社の成長段階に応じて適切な資金調達計画を立て資金調達を行なっています。
3.Sansan

画像:ホームページより(https://jp.sansan.com/)
Sansanは、法人向け及び個人向けの名刺管理サービスを提供する日本の株式会社です。2018年現在、法人向け名刺管理サービスの「Sansan」は、国内市場において導入企業7000社、シェア82%で6年連続1位。
Sansanは、顧客が満足してサービスを利用できるよう、「カスタマーサクセス」に力を入れています。
主な取り組みは以下の通りです。
- 既存の利用データを収集し解析することで顧客が利用しているサービスの利用状況を把握する
- ライフサイクルを管理して課題を推測しそれに応じたサポートを行う
- 顧客のサービス活用状況をスコアリングして利用度合いを可視化する
これらの取り組みを行うことでカスタマーサクセスを効率よく実践しています。
SaaSビジネスを成功させるポイント
SaaSビジネスを始めるにはどのような点を気を付けるべきなのでしょうか?
ここからはSaaSのビジネスを成功させるためのポイントについて解説していきます。
1.戦略的な料金設定
SaaSのサービスは、前述のDropboxの事例のように、「機能を拡張するために有料のプランに変更したい」と思ってもらえるように顧客の購買意欲を高めていく必要があります。
例えば以下の様に戦略的に料金設定を行ないましょう。
- 顧客のニーズに合わせた複数の料金プランを用意する
- 料金プランごとに機能や容量などの制限を設ける
- 制限は緩すぎず強過ぎずを目指す
上記のポイントを踏まえながらプラン構築を行いましょう。
2.積極的に顧客との信頼関係の構築を行う
SaaSのサービスは基本的にサブスクリプションモデルが多いため、顧客との信頼関係構築がポイントです。
単にトラブル対応ができる体制を整えるだけでなく、事前にトラブルが発生するポイントを把握して事前に予防線を張っておくカスタマーサクセスの取り組みも必要になってきます。
また、カスタマーサクセスを上手く実行していくためには、Sansanの事例のように顧客データを収集して現在の課題などを可視化しておくことも重要です。
事業の規模によってはMAやSFA、CRMなどの顧客データを扱うシステムを導入し、各システムで連携をとりながら全社的に管理する必要もあります。
3.資金調達も計画に入れる
SaaSビジネスは、初期投資が通常のビジネスより大きく掛かかります。
そのためSaaSビジネスを立ち上げる際は、資金調達から回収までの計画を予め練っておくと良いでしょう。
具体的には、
- 初期投資に必要な資金の金額
- 資金の調達方法
- 収益化してくるタイミング
などを長期的な観点でシュミレーションしておくことをおすすめします。
資金を計画通りに回収できないと資金難に陥る危険があります。事前に資金回収の目処を明確にしておきステークホルダーに説明できるようにしておきましょう。
まとめ
今回はSaaSビジネスの概要や特徴、営業に求められるスキルや事例などを解説してきました。
最近は海外で急速に増えてきたSaaS型のビジネスモデルですが、日本国内のスタートアップやメガベンチャーでも増えつつあるビジネスモデルです。
また、今まで自社で扱っていた「売り切り方型」のサービスをサブスクリプション型のモデルへ変えると収益性が高まる場合もあります。
まずは本記事をSaaSのビジネスについて理解を深めて頂ければ幸いです。