分業から共業へ。マーケティング組織を立ち上げる際のポイントを徹底解説!

Hachi(ハチ)マーケティング戦略室です。
不動産会社のマーケティング施策を「もっと」よくするアイディアマガジン「Hachi(ハチ)」を運営しています。
今回は、自社にマーケティングの部署を立ち上げる際に気を付けておきたいチームビルディングの基本的なお話をさせて頂きたいと思います!
この記事では、
- 従来の組織モデルについて
- 分業のデメリット
- 目標設定のポイント
などを解説していきます。
「生産性のあるチームを作りたい!」という方はぜひ最後まで読んでみて下さい。
目次
従来の組織モデル
これまで多くの企業では「機能別組織」、つまり顧客視点ではなく、社内の業務プロセス視点で作られた部門が個別最適で動くモデルが主流でした。
しかしこのモデルでは、営業が売上の責任を一手に背負い、マーケティングとの連携は薄く、マーケティングが売上にどう貢献しているかも説明しづらい状況でした。
そこで、
- マーケティング
- インサイドセールス
- 営業
の「分業体制」を導入することで、売上に至るプロセスが明確になり、どこに問題があるかが可視化できるようになりました。
しかしその一方で、それぞれの部署が別々の目標を追うことによる弊害が出るようになりました。
グループに分けると、人は敵対する
「理想の組織」を作るために忘れてはならないのは、そもそも人間という生き物は、所属するグループを分けた時点で「内と外」という判断をして敵対意識を持ってしまうということです。
泥棒洞窟実験
心理学者ムザファー・シェリフの有名な研究に「泥棒洞窟実験」というものがあります。
まず、少年たちをサマーキャンプに連れて行き共同生活をさせます。
少年たちはグループAとグループBの2つに分けられ、それぞれハイキングなどを体験し、仲間意識を高めていきます。
そしてしばらく時間を置いてから、彼らに別グループが近くでサマーキャンプをしていることを知らせます。
さらにグループAとBにスポーツなどの競技をさせ、成績の良いほうにトロフィー与えると告げると双方に敵対感情が高まり、相手に対して攻撃的になってしまいました。
分業モデルがうまくいかない理由
この関係を修復しようとして、2つのグループで一緒に花火を見たり、パーティなどの企画をしましたが効果はありませんでした。
最終的に両者の関係が改善に向かったのは、AとBのグループが共同で作業せざるを得ない目標を与えた時でした。
- 止められた飲料水の供給を取り戻す、
- 立ち往生したトラックを協力して引っ張り出す
などの作業をさせたところ、多くの少年が自分たちのグループより相手のグループのメンバーを友人として選択しました。
この実験が示唆するのは、人間はグループに分けられたとたんに敵対しやすい生き物であるということです。
そして、対立する2つのグループの関係を良好なものにするためには、単に接触回数を増やしたり、コミュニケーションの内容を改善するだけではなく、共同で作業をすることによって達成可能な共通の目標が有効だと言えます。
そしてこれを会社の組織に置き換えれば、分業モデルがうまくいかない理由が見えてきます。
従来の目標設定は、「各部門が異なるグループとして分断し、異なる指標に向かって、それを追求していくミッションを与える形」でした。しかしこの組織モデルでは、協力するより敵対的な行動をとるのはむしろ自然なことだと言えます。
協力しあうことで達成できる組織目標を構築する
リェルチは、著書『ウイニング勝利の経営』の中で、元リライアンス・エレクトリック会長兼CEOだったチャック・エイムスの言葉を紹介しています。
「会社の報酬制度を見せてくれれば、社員がどういう行動をとるか、すぐに言い当ててみせる。」
チームであろうが個人であろうが、自分が何で評価されるかによって人の行動が変わるのは万国共通です。
組織の間にある「見えない壁」を越えるには、各部門のメンバーが共同作業で目標を達成するという意識を徹底するしかありません。
会社組織には、利益、キャッシュフロー、株価など、追い求める指標がいくつかありますが、すべての始まりは売上です。
そうであるなら、社員や各部門が売上を上げるためのプロセスをいかに正しく理解し、それに向けて共同作業をする組織づくりができるかが鍵になります。
シェリフの実験が示唆しているのは、マーケティング、営業、インサイドセールスが飲み会で仲良くなっても大した効果はないということ。
キャンプでの実験に参加した少年が飲料水の供給を復活させたり、ぬかるみに嵌ったトラックを引っ張り出したりしたように、1つの目標に向かって行動を起こせる共同作業が必要なのです。
分業でなく共業にシフトしていくために必要なこと
分業ではなく共業にシフトしていくためには、どうすればいいのでしょうか。
みなさんは、マーケティングからインサイドセールス、営業やカスタマーサクセスに至る一連の流れを「ファネル」に見立てて説明するのを見たことがあると思います。

画像引用元|Cross Marketing :カスタマーサクセスとは?注目されている背景や必要な組織変革も解説
しかしその流れはいつも「一方向」ではないでしょうか。
マーケティングからインサイドセールスヘリードを渡し、インサイドセールスは商談化したものを営業に引き渡す。
営業は受注した商談をカスタマーサクセスに引き渡して顧客フォローが開始される。
効率的なようですが、これだけでは「自分たちの仕事の範囲だけやっていればいい」となってしまいます。
ここで必要なのは「逆の流れ」を作ることです。
カスタマーサクセスは顧客と接する中で、何に困ることが多いのかを研究し、製品開発やマーケティングメッセージに反映させる。
あるいは、「営業が提案活動の中で期待値の設定を誤っていないか?」、「顧客満足を高めるためにはどのようなリソースやプログラムが必要か?」といった情報をフィードバックする。
営業はインサイドセールスに対して、実際に訪問した時の内容をフィードバックし、インサイドセールスの商談作成時のコメントと乖離があればフィードバックする。
インサイドセールスは実際にリードと会話して、「顧客がコンテンツやイベントに対してどのような感想を持っているか?」、「どのようなキャンペーンを実施すると効果的か?」などをユーザーの生の声としてマーケティングにフィードバックする。
こうした双方向の流れが実現した時に、売上向上という共通目標に対して共同作業をする感覚が芽生えてくるのではないでしょうか。