マーケティングをもっと身近にするアイディアマガジン

VRIO分析とは?有名企業の事例や分析する方法を分かりやすく解説!

 
この記事を書いている人 - WRITER -
ブログ歴10年、Webマーケティング歴5年の不動産ブロガーです。 不動産集客や不動産テック、SEO対策など、デジタルマーケティングを行う傍らブログサイトを運営中。 この『Hachi-ハチ-』では、主に不動産集客やメディア運営・SEO・ブランディングのノウハウ等をまとめています。
詳しいプロフィールはこちら

VRIO分析とは

VRIO(ブリオ)分析とは、ユタ大学のアメリカ人教授ジェイ・B・バーニー氏が1991年に提唱した、企業の経営資源の競合優位性を分析できるフレームワークです。

 

VRIO分析の4つの要素は以下の通りです。

  • 経済的な価値(Value)
  • 希少性(Rarity)
  • 模倣可能性(Imitability)
  • 組織(Organization)

上記の頭文字を取って「VRIO分析」と呼ばれており、それぞれの問いに答えることで、自社が持つ強みを分析していきます。

 

VRIO分析の4つの要素

それではVRIO分析の4つの要素について解説していきます。

 

1.経済的な価値(Value)

経済的な価値(Value)では、「経済資源に価値があるか?」を考えていきます。

 

具体的に解説すると、

「自社が保有する経営資源で利益を上げることができるか?」

「その経営資源を持って、ビジネスの機会や競合の脅威に対応することができるか?」

ということを考えていきます。

 

ポイントは、経営資源を金銭的な部分のみで考えるのではなく、事業を進める上で役に立つかどうかという視点で考えることが大切です。

 

2.希少性(Rarity)

希少性(Rarity)では、「経済資源に希少性はあるか?」を考えていきます。

 

具体的に解説すると、

「現在、その経営資源を有している競合は多いか、少ないか?」

ということを考えていきます。

 

希少性(Rarity)は「レアもの」や「珍しいもの」という意味合いでよく使われる言葉ですが、企業戦略やマーケティング戦略においても鍵となる要素です。

 

3.模倣可能性(Imitability)

模倣可能性(Imitability)では、「自社の経営資源を他社競合がどのくらい模倣できるのか?」を考えていきます。

 

例えば、資金や時間的なコスト、特許の有無、技術的な模倣が難しい経営資源を有している方が良いとされています。

 

4.組織(Organization)

組織(Organization)では、「経営資源を効果的に活用できる方針や手続きが組織内で整っているか?」を考えていきます。

 

前述の要素と違い、経営資源そのものではなく、経営資源を使う組織に対して考えていく要素となります。

 

VRIO分析のメリット・デメリット

続いては、VRIO分析のメリットとデメリットについてそれぞれ解説していきます。

 

VRIO分析のメリット

1.自社の強みと弱みが明確になる

 

VRIO分析を行うことで、自社が保有する経営資源の強みや弱みを把握することができます。分析後、リソースを集中させる分野が明確となり、意思決定を行うための判断基準にすることも出来ます。

 

2.自社の競合優勢性を可視化することができる

 

自社の競合優位性を明確にすることができるため、効率的に自社の強みを整理することができます。また資産価値を明確にすることにより、事業売却などの思い切った経営判断を行うことが出来ます。

 

VRIO分析のデメリット

1.企業規模が大きい場合は分析に時間がかかる

 

VRIO分析は、経営資源の正確な把握が必要不可欠です。設備以外にも、企業の組織力やスタッフなども資源として分析するため、企業規模が大きくなるほど分析に時間がかかります。

 

また、競合調査を行うにしても内部環境までは把握ができません。

 

世の中に出ている情報から推測するしかないため、「希少性(Rarity)」や「模倣可能性(Imitability)」などは正確に分析することは困難です。そのため、ある程度割り切って分析を行う必要があります。

 

2.定期的な分析が必要になる

 

前述の通り、VRIO分析には時間がかかります。しかし分析結果については、市場や業界の変化や競合他社の動向などでトレンドが変化してしまう要因は多岐に渡ります。

 

そのため、一度分析して終わりではなく、定期的に分析を繰り返し、分析に基づいた戦略決定が適切だったかを確認していく必要があります。

 

VRIO分析の手順

VRIO分析の意味やメリット・デメリットを理解したところで、実際のVRIO分析の手順について解説していきます。

 

手順を理解することで自社の「経営資源」を当てはめ、実際に分析を行うことが出来ます。

 

それでは具体的に解説していきます。

 

1.ゴール設定

まずは「ゴール設定」です。

 

VRIO分析の目的としては、

  • 「自社の強みを中長期的に経営に活かす」
  • 「自社の弱みを把握して経営判断に利用したい」
  • 「従業員にコア・コンピテンス(※1)として浸透させたい」

などが挙げられます。

 

VRIO分析はゴールをどれだけ細かくするかで、分析に時間がかかり、分析する従業員の負担も大きくなります。

 

そこでまずは、どこまで分析すれば良いのか?というのを話し合い、言語化しておくことをお勧めします。

 

(※1)コア・コンピテンスとは、企業活動において中枢・中核となる強みのことです。「競合を圧倒するレベルの高い能力」「競合が真似ることのできない確固とした能力」などをあらわします。

 

2.分析する領域を決める

続いては、VRIO分析行う対象や領域を決めて行きます。大企業の場合、グループ全体で行うのか、各事業部で行うのかなども決めます。

 

前述で決めた「ゴール設定」にも関係してきますが、目的に合わせて領域を決めると良いでしょう。

 

3.経営資源の棚卸を行う

続いては、自社が保有している「ヒト・モノ・カネ」などの経営資源を把握していきます。

 

具体的には「バリュー・チェーン」の把握していきます。

 

バリュー・チェーンとは、原料の調達から消費者に商品が届くまでの一連の流れを「価値の連鎖」として捉え、商品やサービスにどのような価値が加わっているかを明確にするフレームワークです。

 

他社競合とのバリューチェーンを比較し、強み・弱みを分析することで、経営戦略の改善などに役立てることができます。

 

4.経営資源を評価していく

最後は棚卸しをした経営資源をVRIOに照らしながら評価していきます。

 

具体的には以下の5段階で評価していきます。

 

1.競争劣位

経営資源に経済価値が無い。市場に価値を提供できない状態。

 

2.競争均衡

経営資源に経済価値はあるが競合が多く、市場で優位性を発揮できていない無い状態。

 

3.一時的な競争優位

現状は市場で優位性を発揮してるが、模倣が容易であるため競合が表れる可能性が高い状態。

 

4.持続的な競争優位

模倣が困難で競合が表れる可能性が低い。持続的に市場で優位な立場に立てる状態。

 

5.経営資源の最大活用

持続的に市場で優位な立場に立てる状態であり、かつ経営資源を最大限活用できている状態。

 

上記の「競争劣位」がもっとも生井評価であり、「経営資源の最大活用」がもっとも高い評価です。

 

VRIO分析|有名企業の事例

最後に有名企業のVRIO分析事例を紹介していきます。

 

事例1.ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)

ユニクロを事業展開している株式会社ファーストリテイリングは、自社で生産から販売までを一気通貫で完結するSPA方式(※1)を採用しています。

 

ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)のVRIO分析は以下の通りです。

経済的な価値(Value):低価格にも関わらず、品質やデザインが優れている。

希少性(Rarity):生産から販売までを一気通貫で完結するSPA方式の採用。

模倣可能性(Imitability):SPA方式を他社が模倣するには多額の資金調達が必要。

組織(Organization):スタッフ教育が充実しており、接客評価が高い

 

(※1)SPA方式とは、企画から製造、小売までを一貫して行うアパレルのビジネスモデルを指す言葉。

 

事例2.スターバックスコーヒージャパン株式会社

続いては、スターバックスコーヒージャパン株式会社の事業をVRIO分析に照らしてみたいと思います。

 

実はスターバックスコーヒージャパン株式会社には従業員マニュアルが存在しません。従業員一人一人が企業理念に照らし個々が判断して、顧客対応を行なっています。結果として、従業員満足度も顧客満足度も高いという相乗効果を生み出しています。

 

そんなスターバックスコーヒージャパン株式会社のVRIO分析は以下の通りです。

経済的な価値(Value):おしゃれな店内。価格は高いが独特の味わいを楽しめる。

希少性(Rarity):コーヒーが美味しく、独特の世界観がある店内が特徴的。

模倣可能性(Imitability):世界中に店舗展開をしており、どこの店舗に行っても品質の高い接客を受けられる。

組織(Organization):スタッフの個々の対応レベルが高い。

 

まとめ

今回は経営資源の分析を行うフレームワーク「VRIO分析」について解説をしてきました。

 

数あるフレームワークの中でVRIO分析は、資金やリソースが限られている中小企業こそ理解しておくべき分析手法と言えます。

 

特に中小企業は大手企業のように商品の性能や価格で戦うことができないため、「希少性(Rarity)」や「模倣可能性(Imitability)」で戦う必要があります。

 

仮に市場価値のある商品を売り出していたとしても、「希少性(Rarity)」がなければ価格競争に巻き込まれてしまいます。

 

その一方で、VRIO分析で「希少性(Rarity)」や「模倣可能性(Imitability)」が担保されていると把握できたら、無理な値下げは行わず、しっかりと利益が取れる価格設定にしましょう。でなければ、薄利多売が難しい中小企業では十分な利益をあげることができません。

 

まずは本記事を参考に自社の分析を行い、自社の強み・弱み・希少性・模倣可能性・組織力を明確にするところから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いている人 - WRITER -
ブログ歴10年、Webマーケティング歴5年の不動産ブロガーです。 不動産集客や不動産テック、SEO対策など、デジタルマーケティングを行う傍らブログサイトを運営中。 この『Hachi-ハチ-』では、主に不動産集客やメディア運営・SEO・ブランディングのノウハウ等をまとめています。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Copyright© Hachi-ハチ- , 2022 All Rights Reserved.